日本でもたびたび再燃する「選択的夫婦別姓」論ですが、そもそもの「夫婦別姓」運動の狙いなどについて、中川八洋氏の著書『国が亡びる』(徳間書店、1997年)を中心に、抜粋してご紹介します。
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「『夫婦別姓』も、単に女性が家族から『解放』されることであるとか、職場での旧姓通称が法的に正当化されることなどと安易に考える人が多く、それを認めても何ら問題は生じないと誤解している」(p.84)
「『夫婦別姓』運動の狙いは、夫と妻の間の愛と倫理の絆も、親子間の血縁的な精神的絆も限りなく切断し、これらそれぞれを相互に独立的な『個』とすることを目的としたものであろう。仮にそうだとすれば、家族というものを破壊し日本から家族を一掃する恐ろしい革命運動である」(p.84)
「『夫婦別姓』は、妻を『家族から解放』し、夫を『家族から解放』するのが目的であるから、夫婦関係が稀薄化し、いつでもその解消がし易くなるものである。そのような夫婦関係の下での親子関係も脆く弱くその絆は切断され易くなる。そればかりか、子供は両親のいずれかと姓が異なることにおいて、また兄弟姉妹も姓が異なることにおいて、家族の紐帯が薄く弱くなる。いずれは、子供も親から『解放』されて、親も子供から『解放』されてその親子関係はあっという間に雲散霧消する。兄弟姉妹もうまれながらに『他人』となる」(p.144)
「健全な家族が社会の基盤となっていない国家とは、全体主義体制以外ではそのような国家は運営されえないから、自由社会であれば家族解体は、世代を経れば、国家解体に一直線に至るだろう」(p.85)
「家族の尊重なくして、倫理・道徳の存在もその発達もない」(p.85)
「家族の血の連続において国家の未来への国民の義務と責任が認識され、“国家を守る”精神もその基本は家族における父子関係を核として形成される。自由社会の家族解体とは、国家という精神の崩壊である点において、国家解体への道でもある」(p.86)
「現在の『選択的夫婦別姓』で民法改正に成功すれば、必ず、2、30年を経て『強制的夫婦別姓』にもっていくだろう。このとき日本の結婚制度は実質的に消滅することになる」(p.88)
「『夫婦別姓』運動を展開している女性弁護士たちが、おしなべて某左翼政党系かそのシンパがほとんどで、マルクス主義者でないものはゼロである。この驚愕すべき事実は、この『夫婦別姓』が一夫一婦の家族制度の破壊を命じるマルクス/エンゲルスの教義を実現する近道として選択された共産化運動だからである」(p.147)
「夫婦別姓の本当の狙いが、まず『戸籍上で家族の分解』をして、次に『(日本国民一億人を一億のバラバラの個に分解して一人ずつの)個人登録制』にすることである」(『国民の憲法改正』p.123)
「『夫婦別姓への民法改正→戸籍法改正→戸籍上での家族の解体→戸籍不要論のキャンペーン→戸籍の廃止と個人登録制→家族(親子)の解体』である。これが、『共産党宣言』をバイブルとする、その信徒たちが牛耳る法務省民事局/法制審議会民法部会/民事行政審議会が三位一体となっての、『家族解体』という、日本を非暴力で共産社会に改造する共産革命運動プランの全貌である」(p.123)
以上、本書は20年以上前に書かれたものですが、改めて、「夫婦別姓」の問題点を再認識して頂ければと思います。
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