中川八洋氏の著書『正統の哲学 異端の思想』(徳間書店)には、まさにこの点が明示されており、さらにその明解な判別法までが記されているので、ご紹介します。
「異端の思想」とは
「自由を圧搾する『狂信の哲学(異端の思想)』たる全体主義の教義は、デカルト的『理性』主義と、ルソー的『平等』主義と、スペンサー的『進歩』主義の化学反応において合成されるもので、人間の『理性』『平等』『進歩』に対する信仰と狂信が存続する限り、そしてそれが「民衆(デモス)」を主体とする政治制度(デモクラシー)と複合している限り、人類は全体主義と無縁になることは万が一にもないこと、これくらいの見識を少なくとも自由社会は共有すべきであるが、それすら欠けている」(同上 p.4)
異端の思想・全体主義=「理性」主義+「平等」主義+「進歩」主義
「正統の哲学」とは
「フランス革命の勃発をもって直ちにこのように観想したバークを祖として、トックヴィル、ブルクハルト、アクトン、そしてハイエクへと二百年にわたる系譜に立つ数十名の賢者が継承する『正統の哲学』、それが、自由な政治社会の光輝ある永遠と高貴ある徳性とを約束する真正の生命源とたりうる、ということへの覚醒が急がれているように思えてならない」(同上 p.4)
「正統の哲学」のチェック方法
「健全で正しい思想つまり『正統の哲学』とはこの三つを排除したものである。判別は容易である。つまり、次の三点をチェックすることで、ある特定の知識人が健全か不健全(危険)か、その思想が有益か有害か、を判断し選別することは可能となる。
a. 人間の理性への過剰な信頼(「理性主義」信仰、「合理主義」信仰)。
b. 人間の完全なものへの進歩と、未来における完全な人間社会出現に対する確信(「未来主義」信仰、「進歩主義」信仰、過去に対する侮蔑・憎悪教)
c. 人間の平等と大衆(人民)への過剰な価値附与(「平等主義」信仰、人民崇拝教)」
(同上 p.71)
以上、このチェック方法はぜひ活用して頂ければと思います。
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