「フランス革命」とは何だったのか?

「フランス革命」については、学校の社会科や世界史の授業などで一度は学んだことのあるかと思います。

詳細については改めてお調べ頂ければと思いますが、ここでは、フランス革命の‟本質”について、中川八洋氏の著書『正統の哲学 異端の思想』より抜粋してご紹介します。


フランス革命の通説

「フランス革命とは、『旧体制(君主制)』を『新体制(共和制)』にする政治的変革の革命であった、とするのが通説であるが、これこそは事実を曲げ真実に反している」(p.128)

フランス革命を批判する研究についてはその一切を無視し排斥するのが日本での研究の基本傾向である」(p.160)


「フランス革命の『自由、平等、博愛』のスローガンは建前のみであって欺瞞的であった」(p.325)


フランス革命の現実

フランス革命から近代市民社会がうまれたとするのは虚偽であり詭弁である。うまれたのはナポレオン帝政の専制独裁であり、そのあと約百年にわたる政治的大混乱と騒擾のみであった」(p.24)

「1789年から94年の約6年間だけでおおむね約50万人が不毛の権力闘争と狂信からのテロリズムの犠牲となった」(p.126)

「ルネ・セディヨは、フランス革命の犠牲が死者だけで200万人(1789~1815年)と推計している」(p.27)


「フランス革命の現実とは、単なる“呪文”にすぎないそのスローガン、『自由、平等、博愛』のもつイメージとは裏腹の、独裁と大量殺戮のみの、人類にとって『悪の起源』そのものであった」(p.17)

「フランス革命の目標の第一が、(カトリックであれなんであれ)既成宗教を徹底して破壊すること、そのことにあった。たまたまカトリックが強力であったが故に“カトリック潰し”の状況となったが、革命は最終的にはすべての既成宗教の廃絶を狙っていた」(p.129)


フランス革命とは

「フランス革命は、正しく『プロレタリアート下層の民衆革命』なのである」(p.158)


「フランス革命とは、『啓蒙哲学』そのものを宗教的に狂信するならず者による、みずからの国家に対する『侵略』、もしくはみずからの国家に対する『簒奪』であった、と言えよう」(p.127)

「フランス革命の本質の一つは『征服』である」(p.138)

「フランス革命とは、宗教革命運動を主政治的革命運動を従とする複合革命であった」(p.144)


「フランス革命はフランスの(政治)革命をめざしているというよりも、人類の再生に向かって進んでいる様子をあらわしている。フランス革命は改宗熱を鼓吹しており、宣伝を生んでいる。この革命はそれ自体一種の新宗教、不完全な宗教となっている。……その宗教は、神のない、礼拝のない、あの世のない宗教である」トックヴィル


「フランス革命は“法による支配”でなく、“人による支配”をと考え、人民(国民)が主権者なのだから、この人民(国民)に対して国家権力がいかに肥大しても人民(国民)の権利に対する侵害は生じないという、仮構、もしくは“狂信”、あるいはルソー的詭弁を信じたことにある」(p.151)

「フランス革命とは、立憲主義・法治主義の否定こそを絶対的に正しいものとした。同時に、権力のチェック・アンド・バランス、つまりモンテスキュー的な三権分立をも拒否した。限りなき権力の一点集中である」(p.153)

「一言で言えば、フランス革命こそは全体主義の源流であり、20世紀の人類に暗黒の抑圧と数々の戦争(第二次世界大戦、ベトナム戦争、……)をもたらした真の元凶であった。フランス革命とは、近代がうんだ『反・近代』であった。つまり、フランス革命とは『悪の起源』なのである」(p.16)


「(フランス革命は)全体主義デモクラシーの起源」J・タルモン


「フランス革命とは、バークの言葉によれば、『無鉄砲にも、年老いた父親(=過去とこの過去の上に成立している国家の諸制度)を瞬時に千々に切り刻み、それを魔法使いの薬罐に投げ込んでおいて、後は自分達の毒草と野蛮な呪文(=「哲学、啓蒙、自由、人権」)の力で父親の肉体(=国家の過去とその諸制度)は再生し、生命が新たにされると期待』するようなものであった」(p.60)


「欧米の近代とは、“自由を尊重する正しい自由主義(真正自由主義)”の流れと、『自由』の呪文を唱えながら“自由を否定する狂ったデモクラシー(民主主義)”の流れの二大潮流をうんだ。(中略)後者のデモクラシーは、フランス革命で誕生したものである。ところが、これらを日本では欧米先進諸国のデモクラシーだとして、区別せずに一緒にする」(p.16)


「人類の近代における自由主義と全体主義(マルクス・レーニン主義など)の分岐点は、フランス革命を拒絶するか称賛するかであり、この意味ではフランス革命そのものが極めて単純明快なリトマス試験紙的な指標となる」(p.58)


以上、フランス革命とは、

・「プロレタリアート革命

国家(フランス)に対する征服

・「全体主義の源流

・「悪の起源」 等々

その真相をより深くご理解頂ければと思います。


保守主義の教科書

当ブログでは「保守主義」(Conservatism)とは何か、「保守主義」に基づく様々な見方など、日本における「真正の保守主義者」である中川八洋(やつひろ)筑波大学名誉教授の著書から紹介していきます。

0コメント

  • 1000 / 1000