1917年にロシア帝国で起きた「ロシア革命」について、中川八洋氏の著書『正統の哲学 異端の思想』では、「フランス革命」と関連付けて解説していましたので、ご紹介します。
ロシア革命とは「第二のフランス革命」
「ロシア革命とはそれより128年前のフランス革命(1789年)の二番煎じともいうべき『第二フランス革命』なのだから、ロシア革命批判はフランス革命批判を抜きにして完全なものとは決してなりえない」(p.15)
「ルソーとマルクスとの間の相似性(共通性)と模倣性は、例えば後者の『共産主義社会(コミューン)』と前者の『自然(自然状態)』にも当てはまる。いずれもキリスト教のあの世の“天国”を世俗化/現世化させてこれをこの世の『地上の楽園』としたトリック的ユートピアである。しかも、マルクスにおいては『資本主義社会』を、ルソーにおいては『旧体制(アンシャン・レジーム)』を、それぞれ“地獄”に描くことによって、民衆がこれらを破壊する情念をかきたてる妄想にかられるようにした」(p.26)
「政治体制の教義(ドグマ)としては、ルソー主義と(このルソー主義から発展した)マルクス・レーニン主義との間には何らの差異はなく、同一であるということである」(p.90)
「『マルクス/レーニン主義』とは、『ルソー/ロベスピエール主義』の別名だということになる」(p.149)
「若干の相違があるとすれば、ルソーは限りなく家畜(動物)的な人間を理想とし、マルクスは限りなくロボット的な(あるいは仙人的な)人間を理想としたとも言えるから、どちらにしても現実の“人間”では断じてありえない、非人間の『人間』を理想とした点において、ルソーもマルクスも狂人であることは疑いえない」(p.26)
「フランス革命が初めて始めた、人間の結婚を野生動物とまったく同等にする『両性の合意(契約)』の理論化も離婚の奨励も、ロシア革命に踏襲された。これらによって家族の紐帯は決定的に弱まるか切断されるから、これに加えて長子相続や限嗣相続を禁止すれば、家族の(祖先から子孫への)連続性も潰れていずれは家族は消えてしまう。フランス革命もロシア革命もこれを実行したのである」(p.307)
「フランス革命とロシア革命の相違の一つは、全体主義体制を初めて創造したフランス革命がロべスピエールとサン=ジェストが処刑された1794年7月をもってたった5年間で崩壊したのに対し、レーニンやトロツキーらは1918年からの英仏米日による外国干渉軍の危機すらも脱して74年間も続く全体主義体制の創設に成功した点にある」(p.17)
以上、ロシア革命を理解する上でも、フランス革命とは何だったのか、改めてご確認ください。
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