前回、「『保守主義』とは何か?」について、中川八洋氏の著書『保守主義の哲学』よりご紹介しました。
今回は、「保守主義の父」とされる英国のエドマンド・バーク(写真)と、「保守主義」について、同書よりさらに詳しく見ていきたいと思います。
バークとは
エドマンド・バーク(Edmund Burke、1729~1797)は、アイルランド生まれの英国の政治家(下院議員)、政治思想家です。
「保守主義」とはバークの哲学
「保守主義とはバークの哲学のことだといってもよい」(p.123)
「バークは若い頃から『神の手(the hand of God)』『神の摂理(Providence of God)』『神の意志(神慮)』をその哲学の中核に据えていた」(p.134)
「バークの『神の意志(神慮)』哲学は、人間の道徳を向上させる社会を擁護する、世界無比の哲学である」(p.135)
「バークの『神の意志(神慮)』哲学とは、われわれの住む文明社会(=国家)は、『神の意志』で形成され存在しているものと観相することに始まる」(p.135)
「既存宗教の否定論である、無神論や理神論が危険で有害なのは、この『神の意志』の観相を不可能にしてしまうからである。『神の意志』への畏怖なくして、人間の道徳的な向上を可能とし、また義務とする、正しい文明社会(国家)が生命をうることはできない」(p.138)
「不可知なものへの敬虔と謙虚、これがバーク哲学の底流にある」(p.139)
バークの哲学とは戦うイデオロギー
「バーク哲学とは……何から何までルソーやマルクスを根本からひっくり返した、それらの180度逆の思想である。とりわけ、ルソーの作品すべてを狂気の極地だと全否定したのがバークである」(p.174)
「バーク保守主義は、……全体主義国を打倒するに戦争をもためらわない、“戦うイデオロギー”である」(p.173)
保守主義者は「人間本性不変論」を共有
「バークもハミルトンもブルクハルトも、保守主義者とは共通して、ヒューム的な人間本性不変論を共有する。人間本性不変論こそが、人間の完全性を追求するコンドルセや『人間(性)は進歩する』という妄想をふりまわす社会主義者の非を明らかにするし、またルソーやマルクスのごとく人間は粘土人形のごとく勝手に改造されうるという狂気に対して、それを拒絶する常識を与えてくれる」(p.323)
「……人類はあらゆる時代と所とを通じてほとんど同一である……」ヒューム
「人々は自己の本性を変えることはできない」ヒューム
「人性の実質的な何かを変化しあるいは矯正することは不可能である」ヒューム
以上、バーク自身については、また改めて詳しく見ていきたいと思います。
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