「保守主義の政治哲学」とは、「あくまでも英米のそれであり、英米のコモン・ローの法思想と一体となって発展してきたもの」(中川八洋『保守主義の哲学』)であるとお伝えしましたが、日本人にはあまり馴染みのない「コモン・ロー」について、中川氏の同書より抜粋してご紹介します。
中川氏は、「保守主義の元祖」として、イングランドの法律家エドワード・コーク(Sir Edward Coke、写真)を挙げ、コークの言葉と共に、以下のように解説しています。
「個々の国に特有のそして是認されている慣習は、最も拘束力のある確実なコモン・ローである」コーク
「コークに学ぶべきもう一つは、『慣習は“法”である』の法理であろう」(『保守主義の哲学』p.91)
「コークの定義は次のようなものである。
『英国法は三つからなる。第一が、王国の最も一般的で古い法であるコモン・ロー。第二が国会の立法による制定法。第三が特別な慣習。一般慣習はコモン・ローの一部である』」(p.87)
【英国法】
① コモン・ロー / 一般慣習
② 制定法
③ 特別な慣習
「コークは、コモン・ローのほうが国会による制定法に優位する上位にあると考えた」(p.113)
「コモン・ローこそが国家という建物の主柱であり、それを支えているものである。このことは真実である」(p.88)
「慣習の遵守こそ、自由社会の、自由の擁護のための要諦なのである」(p.92)
「コークが宣言するように、コモン・ロー(ひいては「法の支配」)の存在こそ、個々の国民の“自由”の砦である」(p.107)
以上、「コモン・ロー」をさらに理解するために、改めて「法の支配」や「法治主義」についてもお伝えさせて頂きます。
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